訪問ありがとうございます。
衛生管理者試験を受験するにあたって、各章の勉強のポイントを押さえていこうかなと思います。
毎年少しずつ傾向が変わってきている為、参考として考えて下さい。
今回の目次!
試験の概要
- 試験は全44問で構成。400点満点。
- そのうち各科目40%以上かつ、全体で60%以上の得点により合格。
- 試験問題は、ある程度パターン化されており過去問題を解くことによる勉強が効率良い。
- 試験問題の範囲は広いが、ほとんど出ない項目も存在しており勉強にはノウハウが必要。
<参考>
試験の注意点
- 「自分では解けない問題が存在する」という割り切りが必要。
- 「有害業務に係るもの」「有害業務に係るもの以外のもの」の問題が似ており、混同に注意。
- 法律関係の問題で「必ず~しなければならない」という文言はほとんどの場合が間違った記述。
衛生管理者の試験には、有害業務に関係するかどうかで少しだけ問題が違いますが、問題の書き方がなんとなく似ている部分があるので、そこを混同しない様に注意が必要です。問題をよく読んで回答することが重要です。
労働安全衛生法
安全衛生管理体制(衛生管理者)
だいたい最初は「常時800人~」もしくは「ある製造業の事業場~」という文言で問題が始まります。
ここで押さえておくべきポイントは、
- 労働者何名に対して衛生管理者は何名必要?
- 専任者は必要?不要?人数は?
- 産業医の選任は必要?不要?人数は?
間違えやすいポイントとして、コンサルタントの扱いがあります。
コンサルタントを選んでも良く、必ず専任にしなくても良い。
(事業場の立場として、有資格者がいないならコンサルタントに頼るしかなく、コンサルタントの立場として、専任にされると仕事が制限されるので好ましくない。)
有害業務についても押さえる必要があります。
有害業務は、
- 五感を刺激するもの(暑い、寒い、振動、重量物、騒音、異常気圧)
- 有害物質
- 飛散物質(土石、粉塵等)
- 厚生労働大臣の指定する業務
- 坑道(トンネル)作業
<出題例(H30.4 問1)>
常時800人の労働者を使用する製造業の事業場における衛生管理体制に関する(1)~(5)の記述のうち、法令上、誤っているのはどれか。
ただし、800人中には、製造工程において次の業務に常時従事する者がそれぞれに示す人数含まれており、試験研究の業務はないものとし、衛生管理者及び産業医の選任の特例はないものとする。
深夜業をふくむ業務 550人
多量の高熱物質を取り扱う業務 100人
特定化学物質のうち第三類物質を製造する業務 60人
(1)総括安全衛生管理者を選任しなければならない。
(2)衛生管理者のうち1人を、衛生工学衛生管理者免許を受けた者のうちから選任しなければならない。
(3)衛生管理者のうち少なくとも1人を、専任の衛生管理者として選任しなければならない。
(4)産業医は、この事業場に専属の者ではないが、産業医としての法定の要件を満たしている医師のうちから選任することができる。
(5)特定化学物質作業主任者を選任しなければならない。
こたえ(4)
深夜業や有害業務を行う人数が500人以上の場合は、専任の産業医が必要。
安全衛生管理体制(産業医)
「常時500人超の~」から始まることが多いですが、あまり出題は多くありません。基本的には衛生管理者の数とセットで覚えておくべき内容です。
作業主任者
「作業主任者を選任しなければならないものはどれか」と聞かれる。
この問題のポイントは、“作業主任者が必要のない作業”を覚えることにあります。
過去問題の実績から、作業主任者が必要な作業はいろいろなものが出ますが、不要な作業についてはパターン化しています。
不要かつよく出るものをリストアップします。
- 潜水業務
- セメントの袋詰め
- アーク溶接
- “試験研究のための”化学物質取り扱い
- レーザー光線を用いた作業
- はんだ付け
- 騒音作業
<出題例(H28.10 問4)>
次の作業を行うとき、法令上、作業主任者の選任が義務付けられているものはどれか。
(1)水深10m以上の場所における潜水の作業
(2)セメント製造工程においてセメントを袋詰めする作業
(3)強烈な騒音を発生する場所における作業
(4)酒類を入れたことのある醸造槽の内部における作業
(5)試験研究業務としてベンゼンを取り扱う作業
こたえ(4)
上で解説した不要なものを消去していくと残りますね。“ベンゼン”はいろいろな所で出てくる可能性があるので、惑わされないように注意してください。
免許がいる作業
作業主任者の問題の代わりに出る事があります。
免許が必要な作業は少ないので覚えましょう。
- 高圧室内作業
- エックス線の作業
- ガンマ線透過写真の撮影作業
- 潜水作業
<出題例(H29.10 問4)>
労働安全衛生法に基づく技能講習を修了することによって取得できる資格に該当しないものは、次のうちどれか。
(1)特定化学物質作業主任者
(2)有機溶剤作業主任者
(3)石綿作業主任者
(4)酸素欠乏危険作業主任者
(5)高圧室内作業主任者
こたえ(5)
高圧室内作業は、免許が必要なので技能講習の修了では取得できません。
保護具
「厚生労働大臣が定める規格を具備しなければ、譲渡し、貸与し、または設置してはならない機械等に該当する(しない)ものは、次のうちどれか。」
という問題がほとんどを占めます。別の聞き方の問題は難しいので諦めます。特に“該当しないものは、次のうちどれか。”が8割ぐらいです。
覚え方としては、
“免許がいる作業で使う道具”+チェーンソー、防じん防毒マスクと電動ファン
エックス線、ガンマ線で使う装置、潜水器、再圧室、は免許がいる作業で使います。
加えてチェーンソー、防塵防毒マスク、電動ファンもです。
間違いやすいのは、“防振手袋”、“化学防護服”です。
要注意なのが、“硫化水素用防毒マスク”は制限なしです。
<出題例(H30.4 問5)>
厚生労働大臣が定める規格を具備しなければ、譲渡し、貸与し、または設置してはならない機械等に該当するものは、次のうちどれか。
(1)送気マスク
(2)酸素呼吸器
(3)放射線測定器
(4)工業用ガンマ線照射装置
(5)検知管方式による一酸化炭素検定器
こたえ(4)
放射線測定器が該当しない事に注意します。
定期自主検査
このあたりの問題から、「ひたすら覚えるしかない」というものになってきます。
理屈では覚えにくいです。
問題の種類としては、
- 頻度について
- 物質と設備の組み合わせ
の2種類の問題が出題されます。
頻度については、「基本は1年、ガンマ線が1月、特定化学設備は2年」というのが基本です。
また、換気装置の中で全体換気は定期自主検査実施の対象外です。
1年で定期自主検査を行うものは、
- 局所排気装置・プッシュプル型換気装置
- 防塵装置
- 排ガス処理装置
- 排液処理装置
が出題されます。
<出題例(H30.4 問7)>
次の設備又は装置のうち、法令に基づく定期自主検査の実施頻度が1年以内ごとに1回とされていないものはどれか。
(1)硫酸を取り扱う特定化学設備
(2)トルエンを用いて洗浄を行う屋内の作業場所に設置したプッシュプル型換気装置
(3)鉛化合物を製造する工程において鉛等の溶融を行う屋内の作業場所に設置した局所排気装置
(4)弗化水素を含有する気体を排出する製造設備の排気筒に設置した排ガス処理装置
(5)セメントを袋詰めする屋内の作業箇所に設置した局所排気装置に設けた除じん装置
こたえ(1)
特定化学設備は2年でしたね!
有害物に関する規制
問題文として、「次の化学物質(有害物)のうち、」で始まり、
- 厚生労働大臣の許可が必要なもの
- 労働安全衛生法により製造や使用が禁止されているもの
を選ぶ問題が出ます。
これは過去問を沢山解いてパターンを覚えるしかありませんが、下に書くものが主な物質です。
<厚生労働大臣の許可が必要なもの>
- ベリリウム
- ベンゾトリクロリド
- オルト-トリジンおよびその塩(オルト-フタジニトリルに注意!)
- ジアニシジン
- ジクロルベンジジン
- アルファ-ナフチルアミン
- 塩素化ビフェニル
上から順に設問の中によく見かける物質です。
ベリリウムやベンゾトリクロリドは、製造の禁止物質であるベンジジンやベンゼン含有物と名前が似ているので、ひっかけにきているものだと思われます。
上にも書きましたが、オルト-トリジンのひっかけでオルト-フタジニトリルが出題されますので気をつけましょう。さらに、ベンジジンは製造が禁止されていますが、ジクロルベンジジンは大臣の許可により製造可能です。
<出題例(H29.10 問6)>
次の特定化学物質を製造しようとするとき、労働安全衛生法に基づき、厚生労働大臣の許可を受けなければならないものはどれか。
(1)エチレンオキシド
(2)ベリリウム化合物
(3)オルト-フタロジニトリル
(4)ベータ-プロピオラクトン
(5)砒素化合物
こたえ(2)
3のオルト-フタロジニトリルがひっかけです。また、“○○砒素”や“砒素○○”がたまに選択肢の中に入りますが、見た瞬間に選択肢から外して下さい。これが答えになることは(今の所)ありません。
安全衛生教育
問題文の中に「特別の教育を行わなければならないものは」と入っていることがほとんどです。
作業主任者や免許のあたりの話と混同しやすいので、しっかり区別していく必要があります。
また、問題文の最後が「ならないものに該当しないものはどれか。」というひっかけ問題も存在しますので注意が必要です。
答えとして良く出されるもの
- 石綿等が使用されている建築物の買いたいの作業に係る業務
- チェーンソーを用いて行う造材の業務
- 廃棄物の焼却施設において、ばいじんおよび焼却灰その他の燃え殻を取り扱う業務
- 屋内において、セメントを袋詰めする箇所における作業に係る業務
- ガンマ線照射装置を用いて行う透過写真撮影の業務
- 酸素欠乏危険場所における作業に係る業務
- エックス線装置を用いて行う透過写真の撮影の業務
間違いとして良く出されるもの
- ボンベからの給気を受けて行う潜水業務
- 特定化学物質を取り扱う業務
- 削岩機、チッピングハンマー等チェーンソー以外の振動工具を取り扱う業務
- 赤外線または紫外線にさらされる業務
- 水深10m以上の場所における潜水業務
- 強烈な騒音を発する場所における業務
- 第一種有機溶剤を用いて行う有機溶剤業務
- 超音波にさらされる業務
<出題例(H30.4 問2>
次の業務に労働者を就かせるとき、法令に基づく安全又は衛生のための特別の教育を行わなければならないものはどれか。
(1)赤外線又は紫外線にさらされる業務
(2)水深10m以上の場所における潜水業務
(3)特定化学物質のうち第一類物質を製造する業務
(4)エックス線装置を用いて行う透過写真撮影の業務
(5)削岩機、チッピングハンマー等チェーンソー以外の振動工具を取り扱う業務
こたえ(4)
(5)は時間が無い中で「チェーンソー」の文字を拾って間違えるパターンがあります。チェーンソー以外の振動工具についてが選択肢なので間違えないようにしましょう。
作業環境測定
この問題は、作業の種類と頻度の組み合わせを答える問題です。
衛生管理者試験は、項目がいつも前後し、何の問題か分かりにくくなっています。
問題文の中に「作業環境測定」という文字が入る事や、選択肢の文章が長いのが特徴です。
作業場、測定種類、測定回数(頻度)の組み合わせを正確に覚える必要があります。
6月(半年)に1度の頻度は次のものがあります。
- 特定化学物質
- 騒音
- 粉じん
- 石綿等
- 有機溶剤
頭文字を取って「半年に一度、特にうるさい噴石がある」と僕は覚えました。
<出題例(H29.10 問7>
有害業務を行う作業場について、法令に基づき、定期に行わなければならない作業環境測定とその頻度の組合わせとして、法令の定めと異なっているものは次のうちどれか。
(1)非密封の放射性物質を取り扱う作業室における空気中の放射性物質の濃度の測定(6ヶ月以内ごとに1回)
(2)チッパーによりチップする業務を行う屋内作業場における等価騒音レベルの測定(6ヶ月以内ごとに1回)
(3)通気設備が設けられている坑内の作業場における通気量の測定(半月以内ごとに1回)
(4)鉛蓄電池の解体工程において鉛等を切断する業務を行う屋内作業場における空気中の鉛の濃度の測定(1年以内ごとに1回)
(5)多量のドライアイスを取り扱う業務を行う屋内作業場における気温及び湿度の測定(半月以内ごとに1回)
こたえ(1)
これは覚えるしかない部分です。過去問や問題集で数をこなします。
健康診断
この項目も、過去問等を何回も解いて覚えるしかないです。
しかもだいたい1問出ますから、確実に解きたいところです。
問題文に「健康診断を行うことが義務付けられていないものはどれか」とあれば、
(1)潜水業務
(2)何か
(3)管理区域内における放射線業務
(4)屋内作業場において第二種有機溶剤等を用いて行う試験研究の業務
(5)特定化学物質のうち第三類物質を製造し、または取り扱う業務
と出て(2)が正解になる事が多いのが経験則です。
たまに“圧気工法による大気圧を超える気圧下の作業室における業務”が入ります。この設問パターンが最も簡単です。
他のパターンとして、業務と検診項目(例えば、鉛業務ー尿中のデルタアミノレブリン酸の量の検査 など)、定期的に歯科医師による検診を行わなければいけない業務についてがあります。
歯科医師による検診が必要な業務は、塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、弗化水素、黄りん等を取り扱う業務です。これは難しくないので覚えておきましょう。
また、定期の特殊健康診断の結果は、所轄労働基準監督署長に提出する義務があります。
これを健康診断の問題だと判断が出来れば答えは簡単ですが、気付くかどうかです。下に例を載せます。
<出題例(H30.4 問9>
事業者が、法令に基づく次の措置を行ったとき、その結果について所轄労働基準監督署長に報告することが義務付けられているものはどれか。
(1)特定化学設備についての定期自主検査
(2)定期の有機溶剤等健康診断
(3)雇入時の特定化学物質健康診断
(4)石綿作業主任者の選任
(5)鉛業務を行う屋内作業場についての作業環境測定
こたえ(2)
“定期”に気付くかどうか。(3)は1回きりの健康診断。結果の届け先についてはおさらいしておく必要あり。
健康管理手帳
かなり複雑に覚える必要があります。
最低限押さえる必要がある項目は次の通り
- シアン化水素、硝酸、水銀、鉛は健康管理手帳の交付対象ではない。
- 塩化ビニルの重合に4年以上従事したものは交付対象である。
- “10年以上従事”というものは無い。
- 粉じん作業に従事したことがあり、じん肺管理区分が管理二、管理三の者は交付対象。(管理一は対象外)
- 石綿を取り扱う業務に1年以上従事し、最初のばく露から10年以上経った者は交付対象。(“10年”の記述はここだけ)
上の5項目でかなり絞られるはずですので、確実に押さえておいて下さい。
実際に下の問題はこれだけで解けてしまう内容でした。
<出題例(H30.4 問8>
次の有害業務に従事した者のうち、離職の際に又は離職の後に、法令に基づく健康管理手帳の交付対象となるものはどれか。
(1)ビス(クロロメチル)エーテルを取り扱う業務に3年以上従事した者
(2)硝酸を取り扱う業務に5年以上従事した者
(3)鉛化合物を製造する業務に7年以上従事した者
(4)メタノールを取り扱う業務に10年以上従事した者
(5)水銀を取り扱う業務に3年以上従事した者
こたえ(1)
(2),(3),(5)は交付されない。(4)の10年以上は違う。よって残った(1)が正解。
以上が労働安全衛生法の内容です。
この中から5問以上が出題される傾向がありますので、間違えずに解けるように準備する必要があります。
簡単に解くテクニックを少しでも多く紹介できたら良いなと思っています。
次は、「労働安全衛生法関係省令」に続きます。(ただいま執筆中!)
ーーあとがきーーーーーーーーーー
ここまで読んでいただきありがとうございます。
実はもっと簡単に独学で衛生管理者試験に合格する方法があります。
衛生管理者試験は、会社から言われて取得を目指す人がとても多いため、ほとんどは一発合格を狙います。
残念ながら合格率は約45%ですので、半分以下の人しか合格しません。
じゃあその半分以下の人はどうしているのか。
- 実は3回目の受験なんです…。
- 1年ぐらいずっと市販の本で勉強しました。
- 3ヶ月ぐらいで一気に仕上げました。
実は1の人が多かったりして。である場合、一発合格率って結構低いですね。
ならば少しでも合格率を高める努力をしなければいけません。
しかも衛生管理者試験は、かなり広い範囲を勉強しなければいけません。
「普通に教科書を読んでいたら落ちるな」って僕は思いました。
そうです、僕も裏技を使った側です。
たぶん普通に独学した人には衛生管理者試験は難関資格だと思います。
でも僕にとってはハッキリ言って簡単でした。
イメージとしては、自動車免許の学科試験ぐらいです。
ちょっと気をつけてさえいれば普通に合格するレベル。
ここまで読んでいただいて本当にありがとうございます。
せっかくですので、下に案内のバナーを載せましたので、
難関試験を「ふつーの難易度」にして下さい。
(バナー先にも試験問題の傾向等、役立つ記事が載っています。)
成功を祈っています。
Manohiroと申します。
ブログランキングから訪問させて頂きました。
友人が、
衛生管理者
になっています。
重要な職務ですなあ。
また、訪問します。
ポチしました
>Manohiroさん
先日に引き続きコメントありがとうございます。
特別難しいわけではないのですが、いざ勉強しようとすると結構大変な衛生管理者試験。Manohiroさんもいかがでしょうか!?